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50代~70代に胸郭出口症候群と健康寿命

  • 6月12日
  • 読了時間: 6分


~肩こりと思っていた症状の正体~


「肩こりが何年も治らない」

「首から肩にかけて重だるい」

「腕がしびれることがある」

「最近、細かい作業がしにくくなった」


このような症状を年齢や肩こりのせいだと思っていませんか?


実はその症状の一部には、**胸郭出口症候群(Thoracic Outlet Syndrome:TOS)**が関係している可能性があります。


胸郭出口症候群というと若い女性に多い疾患として知られていますが、50代〜70代では姿勢変化や筋力低下、活動量低下などが複雑に関与し、健康寿命にも影響する可能性があります。


今回は理学療法士・トレーナーの視点から、

  • 胸郭出口症候群とは何か

  • なぜ肩こりと間違われるのか

  • 加齢との関係

  • 筋力や筋量への影響

  • 健康寿命との関係

について解説します。


胸郭出口症候群とは何か?


胸郭出口症候群とは、

首から腕へ向かう

  • 神経

  • 動脈

  • 静脈

が通る狭いスペースで圧迫を受ける状態を指します。


胸郭出口とは、

首と胸の境界付近にある通路です。


ここには、

腕神経叢

腕や手を動かす神経


鎖骨下動脈

腕へ血液を送る血管


鎖骨下静脈

腕から血液を戻す血管

が通っています。


これらが圧迫されることで様々な症状が現れます。


なぜ肩こりと間違われるのか?


胸郭出口症候群の症状は、

一般的な肩こりと非常によく似ています。


代表的な症状として、

  • 首こり

  • 肩こり

  • 肩甲骨周囲の重だるさ

  • 腕の疲労感

  • 手のしびれ

  • 握力低下感

などがあります。


特に初期段階では、

単なる肩こりとして扱われることも少なくありません。


しかし実際には、

神経や血管への負担が背景に存在している場合があります。


胸郭出口の機能解剖

胸郭出口症候群を理解するためには解剖学が重要です。


神経や血管が圧迫されやすい場所は主に3か所あります。


①斜角筋間隙

前斜角筋と中斜角筋の間

ここを腕神経叢と鎖骨下動脈が通ります。


首周囲の筋緊張が強い場合、

このスペースが狭くなることがあります。


②肋鎖間隙

鎖骨と第一肋骨の間

猫背や巻き肩によって狭くなりやすい場所です。


③小胸筋下間隙

小胸筋の下を通る部分

長時間の前かがみ姿勢や巻き肩で圧迫されやすくなります。


50代以降に増える姿勢変化


加齢に伴い、

  • 背中が丸くなる

  • 頭が前に出る

  • 肩が前に入る

という姿勢変化が起こりやすくなります。


特に胸椎後弯(円背姿勢)が進行すると、

胸郭出口のスペースは狭くなります。


すると神経や血管への負担が増加する可能性があります。


肩甲骨の機能低下が大きく関係する


胸郭出口症候群では、

肩甲骨の位置異常が重要です。


本来肩甲骨は、

胸郭の上を滑るように動いています。


しかし、

  • 前鋸筋

  • 僧帽筋下部

  • 菱形筋

などの機能が低下すると、

肩甲骨は前方へ引き出されます。


いわゆる「巻き肩」の状態です。

すると胸郭出口はさらに狭くなります。


神経圧迫は筋力低下につながる


神経は単に感覚を伝えるだけではありません。

筋肉を動かす命令も伝えています。


胸郭出口で神経への負担が続くと、

  • 力が入りにくい

  • 握力が落ちた気がする

  • 物を落としやすい

と感じることがあります。


もちろん全てが胸郭出口症候群によるものではありません。

しかし神経機能の低下は筋力発揮にも影響する可能性があります。


なぜ筋量低下につながるのか?


筋肉は神経から刺激を受けて維持されています。


また痛みやしびれが続くと、

無意識に腕を使わなくなります。


すると、

  • 上肢筋量低下

  • 肩周囲筋力低下

  • 日常活動量低下

が起こります。


50代以降ではもともと筋量が減少しやすいため、

この影響は小さくありません。


サルコペニアとの関係


加齢による筋量低下をサルコペニアと呼びます。


胸郭出口症候群そのものがサルコペニアを引き起こすわけではありません。


しかし、

痛みやしびれ

活動量低下

筋力低下

筋量低下

という流れは起こり得ます。


特に、

  • 荷物を持たなくなる

  • 趣味をやめる

  • 家事が減る

などの日常生活への影響は見逃せません。


血流との関係


胸郭出口には血管も通っています。


血流が障害されると、

  • 腕の冷え

  • だるさ

  • 疲労感

などを感じる場合があります。


ただし血流障害を伴う症例は限られるため、

症状の原因を自己判断することは避けるべきです。


健康寿命との関係


健康寿命とは、

介護を受けずに自立して生活できる期間です。


健康寿命を支える要素には、

  • 歩行能力

  • 筋力

  • バランス能力

  • 社会参加

があります。


一見すると胸郭出口症候群は腕の問題に思えます。


しかし、

肩や腕が使いにくくなることで、

活動量そのものが低下する可能性があります。


例えば、

  • 散歩をしなくなる

  • 趣味をやめる

  • 外出が減る

などです。


活動量低下は、

筋力や筋量の低下につながります。

そしてそれが健康寿命へ影響する可能性があります。


デスクワークだけが原因ではない


胸郭出口症候群というと、

パソコン作業をイメージする方が多いかもしれません。


しかし50代〜70代では、

むしろ

  • 加齢による姿勢変化

  • 運動不足

  • 筋力低下

が大きな要因となる場合があります。


つまり、

若い頃とは異なる視点で身体を評価する必要があります。


50代~70代が意識したいこと

大切なのは、

痛みだけを見るのではなく、

身体全体を見ることです。


特に重要なのは、

  • 胸郭の柔軟性

  • 肩甲骨の動き

  • 背筋の筋力

  • 歩行習慣

  • 全身の活動量

です。


首や肩だけを揉み続けても、

根本的な姿勢や運動機能が改善しなければ症状が繰り返されることがあります。


また、

しびれや筋力低下が続く場合は、

頚椎疾患や末梢神経障害など他の疾患が隠れている可能性もあるため、医療機関への相談が重要です。


まとめ

胸郭出口症候群は、

単なる肩こりでは説明できない症状の背景に存在することがあります。


その原因には、

  • 巻き肩

  • 猫背

  • 胸郭の硬さ

  • 肩甲骨機能低下

  • 加齢による姿勢変化

などが関係しています。


そして症状が続くことで、

  • 活動量低下

  • 筋力低下

  • 筋量減少

  • 健康寿命への影響

につながる可能性があります。


50代・60代・70代では、肩こりやしびれを「歳だから仕方ない」と考えてしまいがちです。

しかし身体は年齢だけで変化するわけではありません。


姿勢や筋力、日々の活動習慣によって大きく変わります。


もし長年続く肩こりや腕のしびれに悩んでいるなら、一度「肩だけの問題ではないかもしれない」という視点を持ってみてください。

その気づきが、これから先も快適に動ける身体づくりへの第一歩になるかもしれません。


※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、診断や治療を目的とするものではありません。症状には個人差があり、原因も様々です。強いしびれや筋力低下、症状の進行がみられる場合は医療機関へご相談ください。

 
 
 

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