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睡眠時無呼吸症候群と健康寿命

  • 3 日前
  • 読了時間: 6分


~眠りと血管と脳の関係。あなたの睡眠は本当に身体を回復させていますか?~


「しっかり寝ているはずなのに疲れが取れない」

「昼間に眠くなる」

「家族からいびきがひどいと言われる」

「夜中に何度も目が覚める」

50代から70代になると、このような睡眠の悩みを抱える方が増えてきます。

しかし、それを単なる加齢現象として見過ごしている方も少なくありません。


実はその背景に、

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)

が隠れている可能性があります。


睡眠時無呼吸症候群は単なる「いびきの病気」ではありません。

睡眠の質を低下させるだけでなく、

血管、脳、心臓、筋肉、代謝、認知機能など全身に影響を及ぼします。


そして近年では、

健康寿命を左右する重要な因子の一つとしても注目されています。


今回は理学療法士・トレーナーの視点から、

睡眠時無呼吸症候群と健康寿命について詳しく解説します。


睡眠時無呼吸症候群とは?


睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、

睡眠中に呼吸が何度も止まる病気です。


一般的には

10秒以上の呼吸停止

または

呼吸が著しく低下する状態

が繰り返されます。


代表的なのは

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)

です。


これは空気の通り道である上気道が狭くなり、

睡眠中に塞がってしまう状態です。


なぜ呼吸が止まるのか?


呼吸の通り道は

  • 鼻腔

  • 咽頭

  • 喉頭

  • 気管

で構成されています。


問題となるのは

咽頭(のど)

です。


起きている時は

舌や咽頭周囲の筋肉が働いているため、

気道は開いています。


しかし睡眠中は筋肉が緩みます。


すると、

  • 舌が後ろに落ちる

  • 軟口蓋が落ち込む

  • 咽頭が狭くなる

ことで空気の通り道が閉塞します。


加齢でリスクが高まる理由

50代以降になると

全身の筋肉だけでなく、

咽頭周囲の筋肉も衰えます。


さらに

  • 体重増加

  • 首周囲脂肪増加

  • 姿勢変化

  • 顎周囲筋力低下

などが加わります。


その結果、

気道が潰れやすくなります。

実は「脳が起こされている」

無呼吸になると

血液中の酸素濃度が低下します。


すると脳は危険を察知し、

強制的に身体を覚醒させます。


本人は覚えていなくても、

脳は一晩に数十回から数百回も起こされている場合があります。


つまり、

ベッドに8時間いても

脳は十分に眠れていないのです。


睡眠の質とは何か?

睡眠時間ばかりが注目されますが、

本当に重要なのは

睡眠の質

です。


睡眠には

  • ノンレム睡眠

  • レム睡眠

があります。


特に深いノンレム睡眠では

身体の修復が行われます。


しかし無呼吸が繰り返されると、

深い睡眠に到達できません。


結果として

身体が回復できなくなります。


睡眠中に起こる「身体の修理」

睡眠中には

成長ホルモンが分泌されます。


成長ホルモンは

子どものためだけではありません。


成人では

  • 筋肉修復

  • 骨代謝

  • 脂肪代謝

  • 組織修復

に重要です。


つまり睡眠は

身体のメンテナンス時間です。


睡眠不足と筋肉の関係

睡眠の質が低下すると、

筋肉の回復能力も低下します。


特に50代以降では

もともと筋肉が減少しやすい状態です。


そこへ睡眠障害が加わると、

筋タンパク合成が低下し、

筋量減少が加速します。


サルコペニアとの関係

サルコペニアとは

加齢による筋量・筋力低下です。


睡眠時無呼吸症候群では

  • 睡眠不足

  • 慢性炎症

  • 成長ホルモン低下

  • テストステロン低下

が起こります。


その結果、

筋肉を維持しにくくなります。


睡眠の化学

脳内では何が起きているのか?

睡眠は単なる休息ではありません。


脳内では

様々な神経伝達物質が働いています。


メラトニン

眠気を誘発するホルモン


セロトニン

精神安定や睡眠の材料


アデノシン

眠気を作る物質


オレキシン

覚醒を維持する物質

これらが絶妙なバランスで働いています。


無呼吸による断続的覚醒は、

このバランスを崩してしまいます。


脳への影響

近年注目されているのが

認知機能との関係です。


睡眠中、

脳では老廃物の除去が行われます。


これは

グリンパティックシステム

と呼ばれます。


深い睡眠が不足すると、

脳内老廃物の排出効率が低下します。


睡眠時無呼吸症候群と認知機能


睡眠の質が低下すると、

  • 集中力低下

  • 記憶力低下

  • 判断力低下

が起こりやすくなります。


高齢期では

これが生活機能低下につながる可能性があります。


血管への影響

ここからが非常に重要です。


睡眠時無呼吸症候群は

血管の病気とも深く関係します。


無呼吸になるたびに

酸素不足

再呼吸

酸化ストレス

が発生します。


これは血管内皮細胞に大きな負担を与えます。


血管内皮機能の低下

血管の内側には

血管内皮細胞があります。


この細胞は

NO(一酸化窒素)

を産生します。


NOには

  • 血管拡張

  • 血流改善

  • 動脈硬化予防

という役割があります。


しかし慢性的な低酸素状態は、

NO産生能力を低下させます。


高血圧との関係

無呼吸になるたびに

交感神経が過剰に働きます。


すると

心拍数上昇

血圧上昇

が繰り返されます。


これが慢性的な高血圧につながります。


心臓への負担

睡眠中に何十回も呼吸が止まることは、

心臓にとって大きなストレスです。


結果として

  • 心不全

  • 不整脈

  • 心血管疾患

との関連も指摘されています。


健康寿命との関係

健康寿命とは、

介護を受けずに自立して生活できる期間を指します。


日本では平均寿命と健康寿命の間に約10年前後の差があります。

この差を縮めることが超高齢社会の重要課題です。


睡眠時無呼吸症候群は

  • 疲労感

  • 活動量低下

  • 筋力低下

  • 高血圧

  • 認知機能低下

などを通じて、

健康寿命に影響を与える可能性があります。


活動量の低下がすべてを悪化させる

最も注意したいのは

「疲れているから動かない」

ことです。


活動量が減ると

  • 筋力低下

  • 循環低下

  • 体重増加

  • 睡眠悪化

が起こります。


そして無呼吸はさらに悪化します。

まさに負のスパイラルです。


ZEROが考える睡眠と健康寿命

私たちは健康寿命を考えるとき、

筋トレだけを重視していません。


歩行

呼吸

栄養

睡眠

社会参加

すべてがつながっていると考えています。


睡眠時無呼吸症候群は、

夜の問題に見えて、

実は昼間の活動性や人生の質を大きく左右します。


身体を鍛えることも大切ですが、

その身体を回復させる睡眠を軽視してはいけません。


おわりに

人は人生の約3分の1を眠って過ごします。


しかし本当に大切なのは、

どれだけ長く眠ったかではなく、

どれだけ深く回復できたかです。


睡眠時無呼吸症候群は、

いびきの問題でも、

眠気の問題でもありません。


脳を守ること。

血管を守ること。

筋肉を守ること。


そして、自分らしく生きる時間を守ることにつながっています。

50代、60代、70代になっても、

旅行を楽しみたい。


趣味を続けたい。

家族と元気に過ごしたい。


その土台は、実は毎晩の睡眠の中で作られています。


もし最近、「しっかり寝ているはずなのに疲れる」「昼間の眠気が強い」「いびきを指摘された」ということがあれば、身体からの小さなサインかもしれません。


健康寿命は、運動だけでなく、眠りからも始まっています。

明日のためではなく、10年後の未来のために。

今夜の睡眠を、少しだけ大切にしてみてはいかがでしょうか。

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