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閉塞性動脈硬化症(PAD)と健康寿命

  • 6月11日
  • 読了時間: 6分


~歩くと足が痛くなる人へ。その症状、年齢のせいではないかもしれません~


「最近、少し歩くとふくらはぎが痛くなる」

「休むと楽になるのに、また歩くと痛くなる」

「歳だから仕方ないと思っていた」

50代以降になると、このような症状を訴える方が増えてきます。


しかし、その症状は単なる筋力低下や老化ではなく、閉塞性動脈硬化症(Peripheral Artery Disease:PAD) と呼ばれる血管の病気が関係している可能性があります。


PADは足の血流が低下する病気ですが、実はそれだけではありません。


歩行能力の低下、筋力低下、転倒リスク増加、活動量低下、さらには健康寿命の短縮とも深く関係しています。


今回は理学療法・運動指導の視点から、

  • PADとは何か

  • なぜ歩くと痛くなるのか

  • 筋肉や血流との関係

  • 健康寿命との関係

  • 今日からできる予防策

について解説します。


PAD(閉塞性動脈硬化症)とは?

PADとは、

足へ血液を送る動脈が狭くなったり詰まったりすることで、十分な酸素や栄養が届かなくなる病気

です。


原因の多くは動脈硬化です。

動脈硬化とは血管の内側に脂質や炎症物質が蓄積し、血管が硬く狭くなった状態を指します。


特に

  • 高血圧

  • 糖尿病

  • 脂質異常症

  • 喫煙歴

  • 加齢

がリスク要因として知られています。


50代以降では決して珍しい病気ではありません。


歩くと痛い、休むと治る

間欠性跛行(かんけつせいはこう)


PADの代表的な症状が

間欠性跛行

です。


歩いていると

  • ふくらはぎ

  • 太もも

  • お尻

が痛くなり、

休むと楽になる。


しかし再び歩くとまた痛くなる。

これは筋肉が活動するために必要な酸素が不足しているためです。


なぜ歩くと痛くなるのか?

ここで少し機能解剖を見てみましょう。

歩行中には

  • 腓腹筋

  • ヒラメ筋

  • 大腿四頭筋

  • ハムストリングス

  • 大殿筋

などの大きな筋肉が働きます。


筋肉が収縮するとエネルギーが必要になります。


そのエネルギーを作るために

  • 酸素

  • ブドウ糖

  • 脂肪酸

が必要です。


しかしPADでは血流が不足しているため、

筋肉は酸欠状態になります。


結果として

  • 疲労物質の蓄積

  • 乳酸増加

  • 発痛物質の増加

が起こり、

「歩くと痛い」

という症状が出現します。


実は筋肉そのものも弱っていく

PADは血管の病気ですが、

長期的には筋肉の病気でもあります。


血流不足が続くと

筋肉細胞への栄養供給が低下します。


すると

  • 筋線維の萎縮

  • 毛細血管密度の低下

  • ミトコンドリア機能低下

が起こります。


つまり

「筋肉が育たない身体」

になってしまうのです。


特に50代以降では加齢による筋量低下(サルコペニア)が進みやすいため、

PADが加わると筋肉減少はさらに加速します。


ふくらはぎは第二の心臓


ふくらはぎは

「第二の心臓」

と呼ばれます。


歩行時にふくらはぎが収縮すると、

静脈の血液を心臓へ押し戻すポンプ作用が働きます。


しかしPADになると

歩くと痛い

歩かなくなる

ふくらはぎが弱る

循環が悪くなる

さらに歩けなくなる

という悪循環に陥ります。


歩行速度は健康寿命の指標


近年の研究では

歩行速度は健康寿命や死亡リスクとも関連することが報告されています。


歩く能力が低下すると

  • 外出頻度低下

  • 社会参加低下

  • 筋力低下

  • 転倒増加

  • 要介護リスク上昇

につながります。


つまりPADは単なる足の病気ではなく、

「自分の足で生活する力」を奪う病気

とも言えるのです。


PADと健康寿命

健康寿命とは

「介護を受けず、自立して生活できる期間」

を指します。


日本では平均寿命と健康寿命の間に約10年前後の差があります。

この差を縮めることが超高齢社会の重要課題です。


PADが進行すると

  • 歩行能力低下

  • 活動量低下

  • 筋力低下

  • フレイル

  • サルコペニア

  • 要介護

へつながる可能性があります。


つまりPAD対策は

健康寿命対策でもあります。


見逃されやすい初期症状

PADは初期では気づかれにくい病気です。

次のような症状がある方は注意が必要です。


□ 少し歩くとふくらはぎが重い

□ 足が冷たい

□ 階段が急につらくなった

□ 足の傷が治りにくい

□ 左右で足の色が違う

□ 夜中に足がつる

□ 歩く距離が短くなった

単なる運動不足と決めつけず、一度医療機関へ相談することも重要です。


運動は危険?それとも必要?


PADと聞くと

「歩いたら悪化するのでは?」

と思われる方もいます。


実際には医師の指示のもとで行う運動療法はPAD管理の重要な柱とされています。


なぜなら運動によって

  • 毛細血管発達

  • 酸素利用効率向上

  • 歩行能力改善

  • 筋力維持

が期待できるからです。


特に歩行トレーニングは多くの研究で有効性が示されています。

ただし症状や重症度によって対応が異なるため、

自己判断ではなく医療機関での評価が重要です。


筋力トレーニングも重要


PADでは

血管だけでなく筋肉を守る視点も必要です。


特に重要なのは

  • ふくらはぎ

  • お尻(大殿筋)

  • 太もも前(大腿四頭筋)

  • 体幹

です。


これらは歩行能力を支える主要筋群です。


筋力が維持されることで

  • 歩行効率向上

  • 転倒予防

  • 外出機会増加

につながります。


ZEROが考える健康寿命


私たちはトップアスリートから高齢者まで身体をサポートしています。

その中で強く感じることがあります。


それは、

「健康寿命は病院だけで守るものではない」

ということです。


病気になってから治療するだけではなく、

歩けるうちに、

動けるうちに、

身体を整えることが重要です。


PADもまた、

痛みが出てからではなく、

歩く距離が減り始めた段階で気づくことが大切です。


ブログの締めとして、よりZEROらしく「健康寿命」「未来」「行動変容」に繋げるなら、こんな結びがおすすめです。


おわりに

閉塞性動脈硬化症(PAD)は、単なる血管の病気ではありません。

血流の低下は筋肉の衰えを招き、歩く力を奪い、活動量の低下へとつながります。そして、


その先にはフレイルや介護のリスクが待っている可能性があります。

しかし見方を変えれば、PADは身体からの大切なサインとも言えます。


「最近歩く距離が短くなった」「足が疲れやすくなった」「少し休むと楽になる足の痛みがある」

そんな小さな変化に気づくことができれば、未来は変えられるかもしれません。


健康寿命を延ばすために必要なのは、特別なことではありません。

血流を保つこと。筋肉を維持すること。そして、自分の足で歩き続けること。


私たちが目指したいのは、単に長生きすることではなく、「行きたい場所へ自分の力で行ける人生」です。


10年後も、20年後も。

旅行に行ける。孫と遊べる。趣味を楽しめる。買い物に出かけられる。


そんな当たり前の日常を守ることこそが、本当の健康づくりではないでしょうか。

足の痛みを年齢のせいと諦める前に、一度ご自身の身体と向き合ってみてください。


その一歩が、これから先の健康寿命を大きく左右するかもしれません。


「歩けることは健康寿命そのもの」


 
 
 

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